東大大学院中退の戯言

院生だった当時に気持ちを吐き出すためにこのブログを開設しました。自称うつ病で中退しましたが、なんとか生きてます。

研究の呪いからいつか解かれるのだろうか

もともと研究者になりたかった。
今でも好奇心は旺盛だと思う。
東大生の中でも平均以上には好奇心旺盛だったほうじゃないかと思う。
数学の話や政治哲学の話や法律の話まで多方面に興味が尽きない。
なので自然と研究の道に進むと思っていた。


だが研究から逃げ出した。
理由は他の記事で書いた通り。
自分が悪いし恨みつらみをぶつけても仕方ない。
研究から逃げだのだ。
逃げれば少しは楽になれると思っていた。


そう思って6年ほどが経った。
今になって別の苦しみが次第に頭を占めるようになってきた。
研究を諦めたと思っていた。
頭では受け入れたつもりだった。
受け入れたつもりなのに強すぎる好奇心が逆に「呪い」となって自分を苦しめる。
同級生や後輩がアカデミックや企業のR&Dの分野で活躍するのを見ると、胸が焼けるような羨望を感じる。無意識レベルで。


それなりになんにでも興味を持てる性格だと自負していたので、ITの道に進んだ。
今では微分積分どころか掛け算割り算すらも使わない仕事をしている。
たまに暇になればガウス理論やら解析学やら興味を持ち、
本業では掛け算割り算すら使わずエクセルで進捗をまとめたり見た目を整えるだけのアプリ開発のコーディングをしたりしている。
こんなことをしているとなんかやってる仕事と思い描いていた姿と違うなと言う思いがひしひしと胸を締め付けてくる。
とはいえ今から数理領域の仕事をするにはキャリアも実績(院卒)もなさすぎて誰も雇ってはくれない。好奇心が強かっただけで、頭がそこまで良いわけでも社会人的な能力が高いわけでもない。万が一雇ってもらえたとしても同年代の人たちと肩を並べられる自信はない。


なんだかなぁという思いが呪いとなって時々死にたくなる。
いつかそんなことも何も考えなくなり「呪い」から解かれる日は来るんだろうか。

社会人になって自分の生きづらさが確信に変わった。

以前の更新は大学院中退で更新が止まっていた。
実際それから4年ほど社会に出てみて、やはりあの時の自分の発達障害気味の感覚は間違っていなかったのだと確信に変わってきている。
研究というフィールドではなく仕事というフィールドでも抱える問題は似ていて、仕事仲間から基本的な社会人スキルについて怒られることが多く、自分で罪悪感を覚えつつも自分では治せないという事が多い。そしてそれがなかなかに病的だと客観的にも主観的にも感じ始めている。
これまで東大という隠れ蓑に隠れて自分の社会人としての無能さを自覚しつつもそれに直視できていなかったというか、はっきりと確信に変わるのが遅れていた。
受験の勉強と社会人的な能力というのは相関こそあれイコールではない。
計画的に物事を進める・全体の俯瞰と目の前の課題へのブレークダウン、という点では受験勉強と仕事の共通項はあるのだろう。しかしむしろその一歩手前、時間を守る・やる気に関わらず期限内にタスクに取り組む・報連相をする、このあたりの社会人スキルというのは(スキルと言うほどでもないが)、受験的な能力には現れないしむしろ9割5分の人間は少し注意すればできるものなのだろう。
一方自分は9割5分の人間ができない受験を突破し9割5分の人間ができる基本的な物事をできないでいる。はっきり言って異常だ。
かといって日常会話でのコミュ障や挙動不審や極度のケアレスミスなど典型的な発達障害の傾向があるわけでもない。それこそが確信に変わるのが遅れた原因だ。
実はADHDを疑っていた時にメンタルクリニックには一度だけ訪れたことがある。だがそこでは自分はグレーゾーンと言われ相手にされることはなかった。おそらくぱっと見は普通で、話していておかしい様子がなかったためだろう。それ以降メンタルクリニックに行くことはなくなった。
それでも生きづらさを感じる、というか社会人としての無能さを自覚するタイミングは数多くあった。

朝がめっぽう弱い

朝がめっぽうに弱い。布団からの起床が毎日地獄だ。目は覚めはするのだけど、そこから起き上がるというアクションにものすごく抵抗を感じる。
それが自分でわかっているからこそあえてソファで寝たり大事なミーティングが朝にあった時は漫画喫茶に泊まるなどした。
後に判明したけれど、無呼吸症候群があり睡眠の質がとても悪いらしい。
医師の話では普通に7時間寝ても4時間分くらいしか寝ていないのと同じらしい。
これに関しては医師のすすめで鼻腔粘膜焼灼術などしてみたがあまり改善されていない。

日中の眠気が酷い

無呼吸症候群の影響があるのか、発達障害特有の夜型傾向が強いからか、異常なまでに日中の眠気が襲ってくる。
他の人でも多少日中眠い時があるらしいが、自分でこれは異常だと確信している。
ほぼ毎日、朝昼時間問わず強烈な眠気が襲ってくる。コーヒーやガムなど効くはずもなく本当に耐え難いレベルの眠気だ。
机で寝ているのを見られるのがまずい職場ではなかったが、あまりに頻度が多いと流石に苦言を呈される。
さらに後述の注意散漫などと相まって他の人の目にはやることやらないくせに机で寝ている異常者に映っているのだろう。
実際自分が他人でもそう思うと思う。

遅刻癖が治らない

堂々と書くことではないが単純に遅刻癖がある。朝が弱いことと相まって4,5分の朝の遅刻は日常茶飯事だった。
これに関しては異なる人から結構強めに怒られた。怒られて当然だと自覚している。
就活でも面接に遅刻するなどこれも病的なレベルだと思っている。朝がめっぽうに弱いエピソードでも書いたようにどうしても遅刻できない時の緊急手段として漫画喫茶に泊まるなどしている。

注意散漫

とにかく注意散漫だ。やる時はやることもあるので自分では異常とは思っていなかったが、周りを見てると異常なレベルなんではないかと思ってしまう。はっきりとしたエピソードはないし相対的なものなので表現することが難しいが異常なレベルの自覚がある。

やる気が無い時はとことん手につかない

注意散漫と相まってやる気が出ないととことん仕事が手に付かない。
仕事の性質上、1日のうちでやることをやってればいつどのように進めても良いという形なので時間に縛られることがない。
また、リモートワークが進み、深刻なレベルでその傾向は増した。
普通の人でも手に付かないというのはあるのだろうが、自分の場合は特に病的に手に付かない。
頭では今やらないといけないと思っていることもなかなか行動に結びつけるのが難しい。
相対的なものなので基準を持ち出すことはできないが客観視するにこれは病的と言っても過言ではないレベルだと思っている。

罪悪感と劣等感からくる二次障害

ここからは自分が悪いとわかっているゆえの罪悪感や劣等感からくる二次障害になる。
よく無能は自分が見えていないとか客観視できていないとか言われることがあるが、自分の場合は客観視ができているつもりではある。
そして客観視できていて今の状態がダメだとわかっているからこそ、それを治せない自分に嫌悪感や劣等感を覚える。
ギャンブル依存症アルコール中毒の患者は自覚があっても自力では治せず自己嫌悪の二次被害が起こると言われいるが、まさにそれですごくその気持がわかる。
普通の人からすれば注意さえすれば治るものなのに注意しても治せずそれが自己嫌悪を引き起こす。

罪悪感劣等感からの報告の遅れ(ごまかし)

完全に自分が悪いし自分が悪いので怒られることがわかっていると、まず報告しようではなくてどうやって挽回しようどうやってごまかそうの発想になってしまう。きちんとやることをやっていてタスク遅延の原因に正当なものがあれば堂々と報告できるけれど、いかんせん罪悪感のせいで隠蔽しようとしてしまう。何が原因であれ隠蔽だけは良くないとわかりつつどこかでこうしたら挽回できると考えてしまう。
結局すぐに挽回できるわけもなくそれで評価を落とすということが何度もあった。

罪悪感劣等感から周りに相談できない

劣等感からこんなことで悩んでいると相談もできない。というか相談された側からしてもお前が悪いじゃん本気でやれよの一言しか返せないとうのが自分でもわかるから相談しても仕方ない。
私は無能です助けてくださいと無様に周囲にアピールできるほどにプライドを捨てられたら良いのかもしれないけれど、まだそこまでプライドを捨てきれないでいると言うのが正解かもしれない。

今後

はっきりいって甘えとかやる気がないだけと言われるかもしれない。ほとんどの人にはただの無能の戯言にしか見えないだろう。自分が相談された側だったとしてもそう思うに違いない。遅刻だとか手につかないとか甘えにしか見えない、というかそれを世間では甘えだというんだと。
たしかに甘えなんじゃないか他の人はもっと試行錯誤しながらうまくやっているんじゃないかという思いもある。他の人の心の中なんて覗くことはできないので感覚の違いなんて字面で語れるわけがない。
ただ自分だからこそ言えるのが、もはやこれは単純な甘えなどではなく病的なレベルだということ。
それを勝手に発達障害とラベリングして自称しているけれど、これの正体はわからない。
客観的に見れる自分がいるからこそ理想と行動が違いすぎて生きづらさを感じているということだけは事実だ。
こんなところで吐露したところで状況が良くなるわけではないし、頭の中で繰り返し反芻している事なので今更整理されたからと言ってどうなるというわけではない。
今後一生この障害(?)を背負って生きていかなければいけないことに変わりはない。
まずは上記のようなことが普通の人以上にできないのだという自覚をしっかり持つこと。そこから始めていかないといけないのだろう。

大学院を中退することにした。

大学院は中退することにしました。完全な独断です。
現在何もしていませんし、現実での人間関係はほとんどありません。
でも気が楽です。うつ状態でもないと思います。
今は家にこもって絵ばっかり描いています。写実的な絵です。
絵を描いていると心が落ち着きますね。
頭の中が空っぽになって、スーッと集中できる。
最近何かに集中することができなかった自分にとって集中できる事というのは貴重な癒しです。
まさに砂漠に突然現れたオアシスです。
これまで大学院を卒業しなければいけないというプレッシャーを自分に課していました。
しかしそれは幻想だったのかもしれません。別に卒業する必要なんてないのかもしれません。
この大学院の期間は決して遊んでいたわけではありません。それだけは胸を張って言えます。
自分の興味から進学した院なのでその周辺の知識は誰に言われるでもなく勉強しまくりましたし、なけなしの自尊心を保つべく資格の勉強なんかもしましたね。
もうそれだけで十分じゃないですか。(と言い聞かせています)
東京大学修士は取れませんが、ルーチンワークで2年を終えた人には負けないくらいのスキルはついた気がします。
もがいた爪痕を何かしら残しておきたいものですね。
普通の院生は修論修士という形で痕跡を残すわけだから。


ところで、この中退の結論に至るまですごく苦しみ悩みました。
結論を出してからも気が楽になるまでずいぶんと掛かりました。
修論に手を付けようとして手がつかないことに対する焦りと自己嫌悪でどうにかなってしまいそうでした。
どうやら自分は逃げるのがうまいらしいですね。
本格的に希死念慮が湧く前に逃げることができました。
こんな話があります。
常に死にたいと考えていた人がある時いつでも死ねる薬を渡されたそうです。するとどうでしょう、その人はその薬を使うどころか元気になったそうです。
「いつでも死ねると思うともう少し生きてみようと思える」んだそうです。よく言いますね、「一回死んだと思ってやり直す」と。
自分もまさにそんな気持ちなのかもしれません。かえって清々しい気さえします。


これからの予定は決めていません。
中退を決めたことはまだ教授とも話していませんし親にも告げていません。
とりあえず学校側にはきちんと手続きをして、親にも話さなければいけないと思います。
そこでまたつらい思いをすることになりそうですが、こればかりは自業自得です。
自分で決めたのだから自分で責任を取るべきですね。
学費を出していてくれた親にも迷惑をかけることになりますし、本当につらいのは期待してくれていた親の方なのでしょうし。
迷惑をかけた分、大学院時代の学費や仕送り分はどうにかしてでも全額返済するつもりです。
現実から逃げる中で連絡を無視してしまったり色々な人に迷惑をかけました。
いつか面と向かって謝りたいと思っています。

ADHDかもしれない

ADHDでも一つの物事に集中できないという特徴があるらしいので調べてみた。
チェック項目についてはDSM5を引用しているらしいこちらのサイト
アメリカ精神医学会の診断基準第5版(DSM-Ⅴ)による注意欠如・多動症/注意欠如・多動性障害の診断基準 / えじそんくらぶはAD/HDを持つ人たち、そして共に悩む家族・教師を応援します - NPO法人えじそんくらぶ
を参考にした

思い当たるところ

注意が持続できない

主観的にはそうかもしれないけど、相対的にどうなんだろう。
特に最近は研究に関して当てはまる。

着席しているときソワソワしたりする

これはめちゃくちゃ当てはまる。
周りの皆はどうしてあんなにじっとしてられるのかと不思議で仕方ない。
じっと立ってられないので落ち着きがないって言われる。

微妙なところ

順番待ちが苦手

ラーメンなんかを並んでまで食べたいとは思わないってくらい。
別に待たないといけない状況ならスマホでネットでも見ながら待てる。
手ぶらで順番待ちをするのはきついかな。でもみんなそうじゃない?
これって診断基準に入るのかな。

ケアレスミスをしやすい、必要なものを忘れやすい

全くないわけじゃないけど、人並みだと思う。

宿題などの課題が果たせない

夏休みの課題は提出直前にやるタイプ。
でもそれって異常ではなくない?

当てはまらないところ

しゃべりすぎる、質問の途中で答え始める

こういった特徴からAHDHの人は人付き合いがうまくいかないと言われることが多い。
でも自分は特に当てはまらないかな。
人付き合いにそんなに困ったと思ったことはない。いわゆるコミュ障ではないと思う。

その他色々当てはまらないことは多い。


ソワソワしてしまうというのはめちゃくちゃ当てはまるけど、それだけで当てはまらない項目が多い。
たぶんADHDじゃないと思う。病院で聞いてみたい。

うつ病の注意点やあれこれ(家族歴、薬の副作用、後遺症など)

※医学の素人が書いた文章ですのであしからず

以前の記事を書いた際、こちらのガイドラインが凄くためになったので要所要所ピックアップしていきたい。

日本うつ病学会治療ガイドラインⅡ.うつ病(DSM-5)/ 大うつ病性障害 2016

枠で囲ってあるところは原文そのまま抜き出した箇所で、図もすべてここから持ってきています。

診断

DSMのチェック項目以外でも注意すべき点

「症状に基づく操作的診断基準は、原因別である伝統的診断体系に比較して、原因を考慮した治療につながらない」といった批判がある。確かに、症状による診断に依拠する結果、診断の妥当性が低下し、1 つの診断区分に多様な病態が混在して、治療方針が立ちにくい。
この欠点を補うために DSM-5 では、
精神障害(パーソナリティ障害群、神経発達症群を含む)の併存の有無
・身体疾患の併存の有無
・どのような心理社会的あるいは環境的な問題を有しているのか
・社会的機能が、どの程度損なわれているのか
といった点を意識的に把握することを求めている
DSM-5, p.16-17)。

慎重にならないといけない場合

抑うつエピソードの診断基準を満たす精神症状を呈している患者に遭遇した際、「物質・医薬品誘発性抑うつ障害」(同 p.175-180)、「他の医学的疾患による抑うつ障害」(同 p.180-183)を鑑別することが優先事項である。さらに、身体疾患患者における抑うつ状態・うつ病の有病率が一般人口より高い(Evanset al, 2005)ことも考慮すれば、身体疾患の病歴および使用薬剤の聴取とあわせ、諸検査の必要性は高い。

薬による抑うつ障害や身体疾患の病歴がある場合は慎重になれということ。
*1

併存する頻度の高い精神疾患

などの有無は、意識的に確認することが望まれる。

さらに幼小児期から存在する

についても検討する。

これらは病前のパーソナリティなどで判断する

病前の性格

患者の病前のパーソナリティ傾向として、外向的か内向的か、几帳面かどうか、周囲の人に気をつかってしまうタイプか(他者配慮性)、他人の評価を気にするか(対人過敏性)などに加え、元々明るく活発かどうか(発揚性)、気分の波があったかどうか(循環性)、出来事によって気分が変わりやすいかどうか(気分反応性)の確認は重要である。受診時点で「抑うつ症状」が見られる患者であっても、発揚性・循環性・気分反応性が元々強ければ、双極性障害の可能性も考慮する必要がある

家族歴

①近親者に双極性障害があれば、当該患者も単極性よりは双極性の抑うつ状態の可能性が高い(Kiejna et al,2006)。
②何らかの精神疾患の家族歴があれば、抑うつ状態が遷延しやすく自殺企図が起きやすい(Holma et al,2011)。

睡眠

うつ病患者の約 85%に、不眠を症状として認め(Sunderajan et al, 2010)、実際、うつ病患者を対象とした睡眠ポリグラフの結果、睡眠維持の不良、深睡眠(徐波睡眠)の減少、REM 睡眠潜時の短縮、REM 密度(時間あたりの REM 睡眠眼球運動)の増加などが報告されている(Srinivasan et al, 2009)。

また、過眠は非定形型うつ病に関連している場合がある。

治療

うつ病と環境の悪循環と補助

① 複数のストレスになる出来事が生じている(Kendler et al, 1998)時に、周りのサポートを十分受けられない環境(Wang, 2004)が重なる。
② さらに、十分な睡眠が取れず、脳の機能回復が不十分になる(Gillin, 1998)。
③ 脳は出来事を処理しきれず、機能不全が起きる。
④ 脳の機能不全は否定的な見方(物事の否定的側面ばかりを見てしまう)を引き起こす(Hirano et al, 2002)。
⑤ 否定的な見方によって、「周囲のサポートを過小評価」して、一人で問題を抱え込んでしまう。同時に、「負荷を過大評価」して、普段なら気にならなかったことまで「とても大変だ」と感じて、実際以上にストレスと感じる出来事が増えてしまう。さらに、不安が生じて、睡眠が取れなくなる。

以上の結果、悪循環が形成されてしまうのがうつ病である



薬の副作用など

特に市販薬など買う人は注意

選択的セロトニン再取り込み阻害薬SSRI)系
  • SSRIは他剤の血中濃度を上げるので、他の薬との併用には注意が必要。

抗うつ薬の副作用で、併存身体疾患の悪化が起きる可能性にも注意が必要である。一例として、一部の抗うつ薬は、食欲を亢進させることがあるため、肥満や糖尿病の悪化につながりうる。薬剤選択の際に配慮したい。

不眠改善の睡眠薬に関して

BZD 系薬に関しては、依存性、認知機能障害、閉塞性睡眠時無呼吸症状の悪化、奇異反応などの可能性がある点に留意し、漫然と長期に投与することは避けるべきである(上述の 2 つの RCT でも、クロナゼパムの漸減中止をデザインに組み込んでいる)。また、BZD系薬の服用量が多い場合や、アルコールと併用した場合などは、奇異反応のリスクが高まる点にも注意する。

バルビツール酸系薬(合剤であるベゲタミンを含む)、ブロムワレリル尿素も、日本では依然として睡眠薬として処方されているが、依存性が強く、さらに自殺企図などで過量服用した場合、致死毒性に繋がる可能性の高い点も考慮して、原則として使用しない

素人のメモ

後遺症や再発

うつ病の患者の中には、抑うつエピソードを構成する諸症状が概ね軽快したかに思えても、以下に示す症状が残存(残遺)している場合がある。
◆ 中核的な抑うつ症状(抑うつ気分、興味・関心の消失、意欲低下、精神運動抑制、食欲減退、不眠、過眠)
◆ 非特異的な症状(不安、焦燥、痛み、認知機能障害)
これら残遺症状は、患者自身の主観的な回復感の有無(Zimmerman et al, 2012)や、患者の生活上の機能水準(Romera et al, 2013)に関係しており、また再発の予測因子でもある(Nierenberg et al, 2010)といった知見が提出されている。
ただし、残遺症状にどのような症状を含めるかは、各研究においてどのような症状評価尺度を使用したかによって異なり、コンセンサスにはいたっていない。

また、再発に関しては研究結果が一貫しておらずはっきりしたことは言えないのが現状。

*1:副腎不全は?

うつ病のメカニズムおよび診断基準

※あくまで医学の素人がネットや論文で知りえた情報です。
自分の体について色々知りたかったので調べてみたのでまとめてみる。
うつ病のメカニズムや最新の研究について知ることができた。

うつ病の脳内メカニズム

そもそもの鬱の原因はモノアミン仮説と呼ばれる脳内の異常だと考えらえれている。
一方で、ストレスなどの環境要因がなぜそのような脳の状態を引き起こす要因となるのかははっきりしていないが、一般にはHPA仮説と呼ばれる説が受け入れられている。
ここではモノアミン仮説から始まり、ストレスがそれらを引き起こす仕組み(HPA仮説)を紹介する。

モノアミン仮説

やる気に関わる信号が伝達する仕組み

*1
やる気に関わる信号の伝達にはモノアミン系と呼ばれる神経伝達物質が関わっているとされている。これらの物質が神経細胞ニューロン)から次の神経細胞へと信号を伝えるのに役立ってる。

  1. まず、ニューロンの抹消で電気信号が発生すると抹消付近にある神経伝達物質が入った袋(シナプス小胞)から神経伝達物質が放出される
  2. 放出された伝達物質は次のニューロンの受容体に取り込まれる
  3. 受容体に取り込まれると電気信号が発生し、次のニューロンに情報として伝わっていく
  4. 受容体に取り込まれなかった残りの伝達物質たちは再び元のニューロンに取り込まれる。これを再取り込みという。

うつ病はこのモノアミン系の伝達物質濃度が十分でなく信号がうまく伝わらないのだと考えられており、それがモノアミン仮説呼ばれている。抗うつ剤などでは再取り込みを阻害する形でうつ病を治そうとしている。*2

モノアミン系がやる気(うつ)に関わると考えられている理由

モノアミン神経伝達物質(モノアミンしんけいでんたつぶっしつ、monoamine neurotransmitter)はアミノ基を一個だけ含む神経伝達物質または神経修飾物質の総称である。セロトニンノルアドレナリン、アドレナリン、ヒスタミンドーパミンなどが含まれる。このうちノルアドレナリン、アドレナリン、ドーパミンはカテコール基をもつためカテコールアミンと呼ばれる。
wikipedia:モノアミン神経伝達物質

抗うつ薬の歴史は,1950 年代のモノアミン酸化酵素(MAO:monoamine oxidase)阻害薬と三環系抗うつ薬(TCA:tricyclic antidepressant)の発見に始まる.MAO 阻害薬は,モノアミン(セロトニン,ノルエピネフリンドパミン)神経系の神経終末に存在するMAO を阻害することにより,脳内モノアミン含量を増加させる作用を有する.一方,TCA は神経終末に存在するセロトニンとノルエピネフリンの再取り込み部位(トランスポーター)に作用することにより,神経伝達物質の取り込みを阻害し,結果としてシナプス間隙におけるセロトニンやノルエピネフリンの濃度を増加させ,これらの神経伝達を増強させる作用を有する.このような事より,うつ病の病態におけるモノアミンの神経伝達異常が関与しているという「うつ病のモノアミン仮説」が提唱された.
出典:うつ病と脳由来神経栄養因子(2006)橋本

ストレスによる鬱の発生機構(HPA仮説)

未だにストレスがなぜうつ状態を引き起こすのか明確にはなっていないが、
仮説として有力なのが「視床下部-下垂体-副腎皮質系仮説」である。*3
*4

視床下部-下垂体-副腎皮質系仮説(HPA仮説)

ストレス刺激に対する内分泌系の応答システムとして視床下部‒下垂体‒副腎皮質(hypothalamic - pituitary - adrenal axis:HPA)系がよく知られている。

ストレスにさらされるとHPA系でコルチゾールというストレスホルモンが分泌される。
このコルチゾールは血糖値および血圧の上昇や、免疫力の低下を引き起こす。
適度にストレスがある状態だと、血糖値の上昇や血圧の上昇により良い興奮状態を引き起こすことになるが、過度にストレスがかかってしまうと高血糖や高血圧を引き起こしてしまう。

また、HPA系にはフィードバック機構が備わっており、正常であればコルチゾールが過剰に分泌されないように適度に抑制してくれるのだが、過剰なストレスにさらされHPA系が壊れてしまうとフィードバックがうまく作用しなくなり過剰にコルチゾールを分泌するようになる。
こうなると、さきほどのように高血圧や高血糖さらには免疫力の低下を引き起こしてしまう。

さらに、コルチゾールの生成にはコレステロールを必要とするが、コルチゾールが過剰に作られる状態にあると同じくコレステロールを原料とするテストステロンやエストロゲンといった物質が作られにくくなってしまう。
このテストステロンやエストロゲンと言った物質はドーパミンの分泌を促す効果があるので、テストステロンの減少によって無気力ややる気の低下を引き起こすと考えられている。*5

これがHPA仮説と呼ばれている。

実際、

  1. このHPA系に異常をきたした患者*6鬱状態によく似た症状を呈すること。
  2. HPA系に異常をきたした患者は本来の抗うつ剤が効かないこと
  3. HPA系に異常をきたした患者は抗うつ剤とは別のコルチゾール合成酵素阻害剤*7が効くこと

といった事実が知られている。

うつ病の診断

これまで見てきたようにうつ病はそのメカニズムは脳内にあるが、脳を直接覗いたり計測することはできないので、問診や観察によって診断されているのが現状だ。
その診断基準になるものがDSM-5としてまとめられている。

うつ病の診断基準」として、一般に(医療関係者も含む)使用されているのは
“ Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders, Fifth Edition ”( DSM-5 ) (AmericanPsychiatric Association, 2013)の「抑うつエピソード」の診断基準(p.160-161)
出典:日本うつ病学会治療ガイドライン

そのDSM-5の内容について具体的に記しておく。

DSM-5の評価項目 *8

定型型のうつ病診断基準

1.抑うつ気分
2.興味・喜びの著しい減退
3.著しい体重減少・増加(1か月で5%以上)、あるいはほとんど毎日の食欲の減退・増加
4.ほとんど毎日の不眠または睡眠過剰
5.ほとんど毎日の精神運動性の焦燥または制止
6.ほとんど毎日の疲労感または気力の減退
7.ほとんど毎日の無価値観、罪責感
8.思考力や集中力の減退、または決断困難がほとんど毎日認められる
9.死についての反復思考

これらのうち、

・5つ以上が2週間以上続くこと
・1か2のどちらかは必ず認めること
・苦痛を感じている事、生活に支障を来していること

を満たすと「抑うつエピソード」であると判断され、
更に
・他の疾患を除外している事(例えばお薬で誘発されたうつ状態など)
を満たすと、うつ病の診断基準を満たすこととなる。

非定型型うつ病の診断基準

A.気分の反応性
B.以下のうち2つ以上
(1) 有意の体重増加または食欲増加
(2) 過眠
(3) 鉛様の麻痺
(4) 長期間に渡り対人関係上の拒絶に敏感で、意味のある社会的または職業的障害を引き起こしている
C.同一エピソードの間に「メランコリアの特徴を伴う」「緊張病を伴う」の基準を満たさない

気分反応性とは、非定型うつ病の最大の特徴で、落ち込んでいても楽しい出来事があると気分が改善するという症状。

鉛様の麻痺というのは、身体に鉛が入っているかのように重いという事で、手足に重み・鈍さを感じ、重みでつぶれそうな感覚となることもある。

また拒絶過敏性というのは、他者からの目を過剰に気にし、「拒絶」に対して過剰に反応するというものです。ちょっと注意されただけで「拒絶された!」と感じて大きく落ち込み、時には仕事を休んだり、衝動行為(リストカットや暴力など)に至ることもある。拒絶過敏性は抑うつ状態にない時にも認めますが、抑うつ状態の時は一層悪化する。

また、Cは「他のタイプのうつ病ではない」という意味になります。

注意

以上が一般にうつ病の診断に使われる診断基準だが、注意しておかなければならないのが、DSM-5が絶対というわけではないことだ。
DSMは発展途上であり、これからますます改良が期待されている診断基準である。(ゆくゆくはDSM-6,DSM-7...)絶対というものはない。
うつ病は症状前後の変化や家族歴なんかも判断基準となってくる。なので、必ずしも自己診断で決めつけられるものではない。
(これを書いていて、自分もきちんと病院に行こうと思いました。)

感想

うつ病のメカニズムが分かっていながら問診でしか診断できないというのはしっくりこない。
前提としてわかっていることは

  1. うつ病の症状 ⇒ 何らかの異常をきたしている
  2. 投薬 ⇔ うつ病のメカニズム(モノアミン系、HPA系)に効く

であって

うつ病の症状 ⇒ モノアミン系かHPA系の異常

は自明ではないからだ。
例えば、Aという因子とBという因子が同じようにうつ症状を引き起こすとする。現在確立されている薬物療法はAに対処する方法であるとすると、Bによってうつ症状が出ている患者には何の効果も得られないのだ。*9特に脳という器官はものすごく複雑なので症状と因子が一対一で対応するとは到底思えない。現在知られてない原因でうつ症状を引き起こしてることも十分考えられる。

なので、問診だけから原因を推定して投薬するというのは少々疑問がある。

問診で全て決めてしまうというのは今の技術上精神医学ではどうすることもできないが、脳科学や測定機器の発達によって精神医学の世界でも計測によって定量的診断や脳内異常の因子や箇所を特定できるようになれば良いと願う。*10


*1:http://utsu.m48.coreserver.jp/UTU2-11.html

*2:しかし脳内の病態が明らかにされていない以上、逆の病態が大うつ病性障害の根本原因と結論付けることは出来ず、あくまで仮説にとどまっている。そもそも脳そのものの神経伝達物質の動きは見ることができないという技術的限界がある。 さらにこの仮説に対する反論としては、シナプス間隙のノルアドレナリンセロトニンの低下がうつ病の原因であるとすれば、抗うつ薬は即効性があってしかるべきである。うつの改善には最低2週間要することを考えると、この反論は一理あると言えるwikipedia:モノアミン神経伝達物質

*3:視床下部―下垂体―副腎皮質系過活動モデルを用いた治療抵抗性うつ病モデルの作製および薬効評価(2008)北村ら

*4:wikipedia:視床下部-下垂体-副腎系

*5:正確にはこの状態は副腎疲労といってうつ病と似て非なるものらしい。HPA仮説と副腎疲労が別物なのかよくわからんかった。

*6:クッシング症患者

*7:メチラポンおよびケトコナゾール

*8:非定型うつ病の診断基準|ICD-10、DSM-5

*9:例えばモノアミン系によるうつ症状とクレッシング症によるうつ症状の例

*10:脳波の利用はてんかんの診断で行われているし、脳血流でうつ病を診断しようとする研究などもあるhttp://www.jsomt.jp/journal/pdf/056030122.pdf

鬱になってからおかしくなったこと2

今回書くのは直接鬱が原因ではないと思うが、正常ではなくなってしまったことだ。
環境的な要因がでかい事ばかりだと思う。

時間感覚がなくなってくる

1時間がすぐ過ぎてしまう。ボーっとしてたら本当にすぐだ。
精神状態にかかわらず一人で家に引きこもっているとそうなってしまうんだと思う。
というか精神状態が普通の人は数日家を閉め切って出ないなんてないんだと思う。
かろうじて近くのスーパーが閉まる時間だけは意識できている。それくらいだ。

約束が守れなくなってくる

時間感覚がなくなってくると同時に、起き上がれない+人と会うのが辛いというコンボが重なって約束が守れなくなってくる。
本当は約束の時間に行かないとまずいとわかっているのに、横になってしまうと現実逃避に逃げるようになってしまう。
結果的に断りの連絡もいれず、約束を破ってしまう。
客観的に自分をみてクソだなと思うし、これは一番変えないといけないと思っている。だがそうして自己否定をするたびに一層自尊心が傷ついていく。まあこれは本当に自分が悪いのだけれど。。。。

遅刻してしまう

上と似ている。
もともと遅刻癖はあったタイプなので、これはカウントするべきかどうか迷ったけれど、4年前と比べて遅刻が酷くなった気がする。
間に合うと思って準備し始めたのに直前でグダグダしてしまってギリギリ遅刻してしまうことがある。自分でも不思議なほどに。
鬱になるとよく玄関で泣きだしてしまうようなことを聞くけれど、必ずしもそういうわけではない。
なので重度の鬱ではないと思うし、鬱が原因でもないかもしれない。